コロナウイルスという未曾有(?)の危機的状況が到来しました。前代未聞といえばいいのか?どちらなのかわかりません。スペイン風邪やペストなども危機的状況だったのかもしれませんが、比較が難しいですね。グローバリゼーションにより、多くの飛行機が飛ぶ時代になり、より感染症の対策は不可欠となったのではないかと感じます。

そこで、今回は免疫について少しお話してみたいと思う。5月時点でわかっていることに限定して。

免疫とは?

  • 免疫というのは、とても複雑極まりない。なので、一言で説明できるものではありません。ですが、かんたんにお話できる範囲で話してみたいと思う。
  • 免疫は「疫病」を「免除」されるという書き方すればわかるとは思うのだけど、疫病というのは集団内に起こる伝染病、流行のことと言うらしい。と聞くと、大抵の方は免疫というのはなくてはならないものだ、と感じられるかもしれません。
  • しかしながら、免疫というのは諸刃の剣でもあります。なぜ?と思うかもしれないが。要は、免疫というのは異物を攻撃する機能であります。その異物というのは非生物および生物どちらもあります。非生物といえば、金属や粉など材質的なものがあります。よく○○アレルギーとか言います。ゴムアレルギーとかもあります。生物といえば、微生物がまっさきに思い浮かぶ。後は、移植片に対する免疫とかも聞いたことがあると思う。
  • 生物に対する免疫、ということになると、自己に対する免疫というのもあるのではないかと言うことは想像されうる。実際に、そういうことが起きるのです。これを、免疫とは呼ばず、「アレルギー」とよんでいます。やや専門的な言い方をすると、「自己免疫疾患」とも言います。

新型コロナウイルス肺炎にも免疫は有効なのか?

  • 結論から言うことに。免疫は有効です。ですから、抗体うんぬんの話がニュースなどで連日取り上げられています。日本のテレビだけでなく、全世界でも抗体に対する期待は深まっています。
  • 抗体といえば、みなさんも「終生免疫(一生続く免疫)」みたいなものをイメージするのではないかと思いますが、過度な期待はまだできません。新型コロナウイルスについてわかっていることはまだまだ少ないのです。
  • 様々な外来の異物に対し、免疫ができるかといえば、そうでもありません。免疫ができない異物もあります。また、免疫にも有効期限みたいなものがあって、数年間続いたら、消滅する免疫なんてものもあります。毎年風邪を引くってありますよね、風邪に対して免疫はできるのはできるんですが、少ししか続かない。だから、風邪にかかったときに、治った後はしばらくは体調がとてもいいのは、免疫のおかげなのかもしれません。
  • 新型コロナウイルスに対する免疫(ここでは抗体のこと)は、おそらくできるのでしょうけど、有効期限ありだと思います。

抗体の本性

  • 抗体は、必ずしも自身を守るわけではありません。抗体はいろいろな種類があり、自身にとって攻撃相手とみなしたものは容赦なく攻撃します。不幸なことに、攻撃相手には、自身も含まれます。
  • もし、抗体が自身を攻撃してしまうと(正確な表現をすれば、不幸にも自身を攻撃するような抗体を体内で製造するような機械が出現すると)、アレルギーや自己免疫疾患、ひいては全身に炎症が起こり、重篤化するなんてこともあります。
  • 実は、今回の新型コロナウイルスではそれがあまりクローズアップされてこなかったのです。本来は個々人の身を守るための免疫が暴走していたとしたら。
  • だとすると、体内に抗体が形成されることがロックダウン解除、職場復帰の条件なんて言ってても、少し心配になります。抗体にも期限がある場合があるのですから。そして、暴走するかもしれない。だったら、抗体に期待はあまりできないのでは?となる。
  • それはそうと、免疫って他にも種類があります。

細胞性免疫と液性免疫

  • 知っておられる方も少なくないかもしれませんが、2種類あります。液性免疫は、体液性免疫とも。細胞性免疫とは、細胞が異物を攻撃すると考えてくれたらいいかもしれません。液性免疫は、抗体が主役となる免疫です。
  • 先ほどお話した抗体は、液性免疫の一部です。
  • では、新型コロナウイルスには細胞性免疫も有効なのか?有効です。しかも、こちらのほうが比較的安全です。ですので、細胞性免疫を賦活させる(活発にさせる)ことのできるツールが開発されると嬉しいことだと思う。
  • 免疫を作るためのツールとなるのがワクチンです。ワクチンが早く開発されればいいのですが、ワクチンにも細胞性免疫または液性免疫を賦活させるものそれぞれあり、できれば細胞性免疫を賦活させるもののほうが望ましいと思う。先程も述べたように、抗体は制御が少しむずかしいのである。ですから、ワクチンの臨床試験があれだけかかるということになる。1年とか2年とかそんなに待てない、という方がマジョリティーだと思います。
  • とにかく早くできることを期待したい。ただ、外国は承認がすごく早い。日本は遅い。

症例から

  • これは外国の症例ではあるが、自己免疫疾患の患者がコロナにかかったとか。58歳の白人男性。多発性硬化症という難しい名前の病気で、免疫抑制剤を投与しており、抗体を産生する細胞(B細胞と言われます)が枯渇してしまっている患者だということです。
  • 少し興味を感じたので、かんたんに記載。3月上旬、風邪で熱が出た。病院で検査したら、コロナとわかった。肺炎はあまりない。血液検査で液性免疫がかなり低下していることがわかった(免疫抑制剤を投与しているためで、コロナは関係ない)。免疫が低下している、ということであれば重症化するのではないか、と考える人が多数なのではないかと思うが、本患者は期待に反して、1週間で退院、自宅療養している。
  • 普通、日本でもそうだがいまだに、入院患者よりも退院患者のほうが少ない。これは入院が長引いているということである。
  • 肺炎は、免疫が過度に作用し、起こっているのではないかという仮説を裏付ける症状の一つとして、興味を持った。ちなみに本患者は、細胞性免疫はある程度保持されており、それがコロナと戦うための原動力となったのであろうと考えられる。
  • まだまだ今後の展開から目が離せないと思う。