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  • 今回からは、少し健康についてのお話を始めてみたいと思います。
  • 皆さんは、体の不調を感じると病院なり、整骨院なりに行くことを考えられるのかもしれません。
  • では、その体の不調について色々とお話するというテーマを作りたいと思います。
  • 今回は、「眼精疲労」について書くことにしましょう。

誰もが経験したことがあるポピュラーな症状

  • 眼精疲労といえば、多くの方が子供の時もそうですが、成人になってからも度々経験する厄介な不快症状の一つであろうと思います。
  • 眼精疲労が起こる原因ですが、多くの方が「目の酷使」などを理由にあげるのではないかと思います。
  • それはそれで、正しいのですが、眼精疲労というのはもっと奥が深いものだと思います。
  • まずは、原理(理屈っぽい話ということですね)からお話してみたいと思います。

整形外科および鍼灸の世界で言われる可動域という用語

  • 整骨院にかかられた皆様の中には、「可動域」という言葉を耳にされた方もおられるのではないでしょうか。
  • 「関節可動域」とも言いますし、ROM (range of motion) とも書きます。
  • 何らかの怪我により、入院したりしてリハビリのときにおいて可動域の測定を経験した方もおられるかもしれません。可動域は、広ければ広いほど体が柔らかいのでOK、ということです。
  • 可動域が狭くなると、生活に影響が出ることもありますし、リハビリをどれだけ行うかの参考にしたりします。可動域が回復するように、とプランを立てて行うわけですね。
  • 可動域が狭くなったり広くなったりする一番の原因は、「筋肉の柔らかさ」です。
  • 例えば開脚運動を行うとき、大腿の内側の筋肉が伸びやすい人ほど、開脚が容易とされますね。そういう意味です。

「代償運動」について

  • 次に、体のどこかに重い障害が残り、可動域などが狭くなったりする患者さんもおられます。このような患者さんは、体が不自由な分、それをカバーする動作が必要となってきます。
  • わかりやすく言えば、私が五十肩だとしましょう。私は今までは、棚の上にある箱を肩を伸ばして取ることができていましたが、それが五十肩によってできなくなったとしましょう。
  • 五十肩って何?という方もおられるかもしれませんね。イメージがしにくい方もおられるかもしれませんね。五十肩の患者さんというのは、一部の患者では肩関節にカルシウムが沈着して、本当に石化したかのように動かなくなるんです。
  • そんなとき、どうするでしょうか。例えば、「はしごを持ってきて棚の上の箱を肩を曲げなくても取れるようにする」とか、「体幹を側方に曲げて腕が上の方に来るようにして、ヒジを曲げて棚の箱を取る」などという方法もありだと思います。後者のように、体幹を反らしたりして、ヒジを曲げたりして取るというのは立派な代償運動の一種です。

 

実は眼球にも可動域というものがある

  • 眼球がどんな構造をしているか考えてみると、なんとなく不気味な気持ちにもなったりしますね。
  • でも、眼球ってグリグリ動いているのはイメージできますよね。顔を動かさないで、左を見たり、右を見たり、上を見たり、下を見たり…と。もし、ご興味がおありでしたら、「外眼筋」で検索いただけますと、画像を確認することが可能です。外眼筋に関しては、手書きのイラストが多いと思います。写真ではわかりにくいのです。
  • 眼球が動いているわけです。大部分の人は、皮膚のところに黒目が来るぐらい、十分に眼球を動かせると思います。ですので、可動域の個人差というのは測定しにくいのですが、一つ、可動域の目安を見る方法があります。
  • それは、例えば眼球だけを動かして左方向を見るときに「どれだけ左方向の視点を固定してじっとしていられるか」という時間です。
  • 仮に、眼球の可動域が悪い場合、左方向にじっと視点を固定すると、眼球が圧迫されて苦痛を感じるようになります。
  • 実は、眼球は6本の筋肉に包まれているのです。ですので、可動域が悪いと、先程の開脚のたとえのように、眼球も動きにくくなるのです。そして、無理に視点を動かそうとすると、眼球にも圧力がかかり、不快感の原因となります

英語ではeye strainというのだが

  • ちょっと興味深い話です。英語では、眼精疲労のことをeye strainと書きます。
  • strainの意味なのですが、ピンと張った、という意味です。日本語の疲労にはこういう意味はイメージとして出てきません。ですので、ただ単に疲れているのかな、というイメージで終わりそうですね。
  • 要は、先程述べましたように6本の筋肉がピンと張った状態になると、眼球が押しつぶされるような感じになるのです。
  • ですから、eye strainのほうが実際の眼精疲労のイメージを的確に表現しているのではないかと思ったりしますね。
  • これに伴って、眼圧というものが上昇します。眼科に行かれた方であれば、眼圧測定を経験された方もいるのではないかと思います。

となると、眼球でも代償運動が起こる

  • ここまでお話してきたことを理解されておられたら、眼球でも代償運動が起こる、ということの意味がスーッと入ってくるのではないかと思います。
  • 例えば、ビルの上の方に誰かがいるのを下から斜め上方向に見上げる、という状況を考えましょう。こういうとき、首を動かさないで眼球だけを斜め上の方向に動かして見ることができたとすれば、かなり眼球の可動域はいいので、問題ないでしょう。
  • しかしながら、眼精疲労をお持ちの方で、多くの方は首を曲げて顔を斜め上の方向に向けないと見れないという状況かもしれません。首の筋肉が代償運動の役割を果たしているのです。
  • こういう運動が繰り返されると、いつしか目の筋肉が使われなくなり、斜め上を見るときには、常に首を曲げて見るという「クセ」がついてしまうのです。
  • すると、今度は「首」が痛くなってくるという悪循環が起こってきます。面白いことに、首を痛めると、ハムストリングおよび足底まで痛くなってしまうという連鎖が起こる方もいます。
  • 首の痛みは厄介なものです。睡眠を取るときに、枕の上で首のコリが取れないまま寝るのは心地よい深い睡眠を妨げることになります。

どうすればいいのか

  • まとめますと、
  1. 目の筋肉が使われなくなる(首を動かして物を見る)というクセがつかないように、少しでも眼球を動かしてものを見る意識を持つ
  2. しんどくなったら休む(ものをあまり見ないようにする)
  3. 多忙な方は鍼灸及びマッサージでリラックス感を生み出す
  • などの方法がおすすめです。

1.代償運動のメカニズムをきちんと理解し、目の筋肉を少しでも使う意識を持つ

  • ここまでお読みになられたら、眼精疲労だと、なぜ肩もこり、背中も痛くなるのか、が理解いただけたのではと思います。
  • ですので、少し斜め上方向とか、左右方向を見るときにはできるだけ眼球を回転(正確には外転とか内転とか言うんですけどね)させたりして、眼球を動かすことを試して見て下さい。
  • 筋肉は使わなかったら、衰えていきます。衰えるというのは、伸縮性が落ちたりとか、しぼんだりとか、そういう意味です。ですので、使わないことでどんどん目の動きも落ちていってしまいます。そうならないように、予防の観点から、動かすということですね。

2.しんどいときはできるだけ目を閉じる

  • 全身の筋肉(及び眼球の筋肉)が硬くなるのは、「緊張しているとき」「睡眠が足りないとき」です。
  • ですので、こういうときほど、眼球運動は辛く感じることになります。無理に動かさず、休息及び睡眠を取るようにしてみて下さい。
  • 筋肉は疲労が蓄積したりすることで、また加齢とともにどんどん縮んでいきます。
  • 目というのは、光を受け取ってはじめて「物を見て理解する」という脳内の伝達経路が活性化されます。これと同時に、代償運動を行う首や背中も活性化されてしまいますので、疲労がありとあらゆるところに出てきてしまいます。
  • これを防ぐためには、すべての不調の源流となる目からの情報を遮断(シャットアウト)することです。簡単に言えば、ベッドで目を閉じて休養を取ることですね。
  • 例えば、1日に7時間寝ている方が1時間でも就眠時間を増やすと、疲労もかなり回復している(大体、半減という感じですかね)ということもよくあると思いますよ。

3.対症療法として鍼灸およびマッサージがおすすめ

  • このような眼球の不具合に起因する、体の不調はなかなか付き合いが難しいものですね。でも、どうして体の不調が起こるのか、正しい理解をしていると安心感も生まれるのではないかと思います。病は気から、と言われる所以ですが、メカニズムが分かると、安心感は確かに生まれると思います。
  • 多忙な現代の社会の中、誰もが十分に休んだり、仕事をサボったりできるわけではないと思います。ですので、鍼灸やマッサージは体を休める効果が大きいですので、もし眼精疲労などの不調も感じておられたら是非、当院にお越し下さい。
  • 鍼灸は本当によく効くと思いますので、おすすめです。

特に2が重要だと思うよ

  • 先述でもありましたように、開脚というのがありますが、トレーニングすれば(筋肉を伸ばせば)、大抵の方は100〜120度ぐらいに広げられるようになるのではと思います。
  • しかしながら、眼球の筋肉では構造上、なかなかそれが難しいと思うので、筋肉が縮まないようにできるだけ疲労がたまらないように程々に生活するのが一番だと思います。

余談:眼精疲労は食べ物や薬で治るの?

  • 難しい話ですね。でも私なりの意見を申し上げますと、治せるような食べ物や薬はあまりないと考えるのがいいと思います。
  • ブルーベリーなどを食べたら目が良くなると言われていますが、かなり栄養失調の患者さんの場合の話だと思います。
  • 戦争のときなんかは、栄養失調はよくありましたしね。ビタミンAの不足症になっている患者さんはあまり今ではいませんね。
  • ですので、現代のように多くの人が普通の食生活を送れている中で、眼精疲労が起こるというのであれば、それは栄養不足からくるものではなく、目の筋肉に問題が起こっていると考えるのが自然な流れかもしれないと思いますよ。